代官山から旧山手通りの方向へ四、五百メートル歩いたあたりの、ヘアサロンやカフェが立ち並ぶその一角に、「セレクトショップヨシズミ」はあった。


クラシックが流れる店内に、実際よりもきっと若く見られるであろう、品の良い、一人の中年の女が入ってきた。

「いらっしゃいませ」

ヨシズミは落ち着いた声で言った。

「主人のネクタイを・・・」

女は、店内を少し見渡した後、おもむろにそう言った。

「どのような柄をお探しでしょう。」

「あまり、派手でないものを・・・。」

「では、こちらなんかいががでしょう。」

ヨシズミは、そう言って、水玉模様のネクタイを2、3本見繕って、女に見せた。

「いや、だから、派手なのは・・・。」

女はそう言って、脇を見やった時、ある奇異なデザインのネクタイに目を奪われた。

すかさずヨシズミは、

「ああ、こちらですか。こちらは当店のオリジナルなんです。」

「はあ・・・。変わったデザインですね・・・。この模様は・・・、天気図?」

「まあ、天気図と言えば天気図ですが、この輪が集中しているところ、ここが台風なんですよ。」

「はあ・・・。」

「ですからね、この模様の名前は・・・。」

「・・・。」

「大荒れの空模様です。」

「・・・。」





「天気より、まず、お前が寒いわ。」

女はそう言って、店を後にした。

コメント

そらいろ
そらいろ
2011年4月2日13:51

ヨシズミキター(・∀・)・・・
けど、やっぱりちら美がいいかなぁwww
いや、ライター大コーンの大いなる作戦に違いない、うん、間違いないw

大根(おーね)
2011年4月2日14:39

充電期間が必要なのよん

不知火
2011年4月4日8:18

新シリーズ、キタ〜〜!(≧∇≦)

大根(おーね)
2011年4月4日10:36

打ち切り必至

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