ヨシズミがガイドを務めるようになってから、もう10年が過ぎようとしていた。
最近の登山客のマナーの悪さ、無知さに、ヨシズミは辟易していた。


ヨシズミが率いる中年女性の一行は、頂上に到達し、その壮観な景色を堪能していた。

「ちょっとちょっと、ヨシズミさん。写真撮ってくれない?」
「あら、これ、おいしいー。」
(これちょっと採ってってもいいかしら?)

ヨシズミは冷めた目で女性たちを見ながらこう言った。

「みなさん、少し早いですが、天気もくずれそうですので、そろそろ下山します。」

「えー、まだ大丈夫じゃなーい。」
「そうよ。こんなにお天気いいじゃない。」
「せっかく来たんだし。ねぇ。」

そして、女性陣の一人がこう言った。

「お天気、大丈夫なんでしょう?」

ヨシズミはおもむろにこう答えた。

「これから下山ですからね・・・。お天気も・・・、下り坂です!」


「・・・・・・。」


「確かに、なんだか寒くなってきたわ。」

そう言うと、オバハンたちは、とっとと帰り支度を始めた。

コメント

シュガー
2011年3月5日17:02

ついに新連載ですね!(笑)

大根(おーね)
2011年3月5日17:22

>シュガーさん

読みきりかもよ。

けいりょう(KR)
2011年3月5日19:31

土曜日の日中に書かれているのを想像してわろたw
てマックでお茶しながら日中に読んでいる自分にもうけた(笑


明日の続編楽しみにしてます!(読む時間無いけどwww

大根(おーね)
2011年3月5日20:03

>けいりょうはん

アーティストは年中無休です(キリッ

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索