ちら美の一日≪第3回≫
2011年2月15日 ネタ コメント (4)その日、ちら美は朝から憂鬱だった。
ちら美は、教材販売の会社に勤めて2年目のOLである。
「はい、ベノムショック販売です。」
「高橋ですか、少々お待ち下さい・・・。」
ちら美は、電話をいったん保留にして、高橋の方へ目をやった。
高橋は、ちら美と同じ部署の2年先輩である。100キロは超そうかと思われる巨体に、彼が背もたれに寄りかかるたび、人のものより一回り小さく見える椅子が、キィー、キィーと悲鳴を上げていた。高橋は営業成績こそ部署内でトップなものの、その半ば強引な営業方法に顧客からの苦情も絶えなかった。
「高橋さん、○○さんという方からお電話です・・・。」
高橋は、ちら美の方を横目で見ると、右手で、(いないと言ってくれ)というジェスチャーをした。
(はぁーっ。)
「申し訳ございません。生憎、高橋は外出しておりまして・・・。」
何度電話をしても高橋が出ないのであろう、受話器の向こうでは、その不満をちら美にぶつけているようであった。
「はい、申し訳ございませんでした。」
ちら美は受話器を置き、高橋に一言文句を言おうと思った矢先、また電話が鳴った。オフィスには、他の社員が1、2名いたが、我関せずとばかりに電話に出ようとしない。半ば諦め気味に、ちら美は受話器を取った。
「はい、ベノムショック販売です。」
「はい、高橋ですね、少々お待ち下さい・・・。」
と、高橋に目をやったその時、
(ガシャーン!!)
けたたましい音とともに、高橋が椅子ごとひっくり返った。どうやら、高橋の重さに耐えかねて、椅子の背もたれを留めている金具が破損し、背もたれが外れてしまったようである。うーん、うーんと唸っている高橋は、当然、電話に出られようはずもない。一呼吸置いて、ちら美は、電話の主にこう答えた。
「申し訳ございません。高橋は、生憎・・・、席をはずしております。」
その日の帰り道、ちら美は、いつものラーメン屋で、思い切って、味玉をトッピングしてみた。
ちら美は、教材販売の会社に勤めて2年目のOLである。
「はい、ベノムショック販売です。」
「高橋ですか、少々お待ち下さい・・・。」
ちら美は、電話をいったん保留にして、高橋の方へ目をやった。
高橋は、ちら美と同じ部署の2年先輩である。100キロは超そうかと思われる巨体に、彼が背もたれに寄りかかるたび、人のものより一回り小さく見える椅子が、キィー、キィーと悲鳴を上げていた。高橋は営業成績こそ部署内でトップなものの、その半ば強引な営業方法に顧客からの苦情も絶えなかった。
「高橋さん、○○さんという方からお電話です・・・。」
高橋は、ちら美の方を横目で見ると、右手で、(いないと言ってくれ)というジェスチャーをした。
(はぁーっ。)
「申し訳ございません。生憎、高橋は外出しておりまして・・・。」
何度電話をしても高橋が出ないのであろう、受話器の向こうでは、その不満をちら美にぶつけているようであった。
「はい、申し訳ございませんでした。」
ちら美は受話器を置き、高橋に一言文句を言おうと思った矢先、また電話が鳴った。オフィスには、他の社員が1、2名いたが、我関せずとばかりに電話に出ようとしない。半ば諦め気味に、ちら美は受話器を取った。
「はい、ベノムショック販売です。」
「はい、高橋ですね、少々お待ち下さい・・・。」
と、高橋に目をやったその時、
(ガシャーン!!)
けたたましい音とともに、高橋が椅子ごとひっくり返った。どうやら、高橋の重さに耐えかねて、椅子の背もたれを留めている金具が破損し、背もたれが外れてしまったようである。うーん、うーんと唸っている高橋は、当然、電話に出られようはずもない。一呼吸置いて、ちら美は、電話の主にこう答えた。
「申し訳ございません。高橋は、生憎・・・、席をはずしております。」
その日の帰り道、ちら美は、いつものラーメン屋で、思い切って、味玉をトッピングしてみた。
コメント
リンク頂きます。これからも楽しいネタを待ってますよ!
ありがとうございます!
だんだんハードルが上がっていくようで恐いです!
ハズレを引くこともありますので、ご注意を!